取材に応じた男性の病室での様子。最初は倦怠感がある程度だったが、急激に熱が上がり意識不明に陥った


「最初は倦怠感と咳が出る程度でした。その後、39度の熱が出たので保健所に電話すると、『自宅で様子を見て』と言われました。しかし、2日ほど経って熱が40度を超えたので、以前、別の病気でお世話になった主治医に電話をしたんです」

そう語るのは、1ヵ月に及ぶ闘病の末、新型コロナウイルスからの生還を果たした大阪市内のヘアメイクアーティスト・矢島雄二さん(仮名・30代)だ。

矢島さんが感染を疑い、国立病院「大阪医療センター」の主治医に電話したのは4月6日。すぐに病院に来るように言われ、PCR検査を受けると、陽性という結果が出た。その後、熱は41.5度まで上昇し、意識不明に陥ったという。
「3日間、人工呼吸器をつけていましたが、幸いにも意識は戻った。すると、すぐに市内の別の病院に転院することになり、救急車で運ばれました」

転院後も、なお意識は朦朧とし、予断を許さない状況は続いた。そんな矢島さんを救ったのは、抗インフルエンザ薬「アビガン」だ。 「『副作用によって男性の精子に影響が出る可能性がある』と説明された上で、服用するか選んでください、と。死の恐怖を感じていた私は迷わず服用を決めました。すぐに9錠飲んで、次も同じ量。翌日からは一日2回4錠ずつでした。それでも、熱はなかなか下がらず、意識も朦朧。1週間以上経ってようやくまともに会話ができるようになりました」

アビガンの他にも、矢島さんはまれな体験をしている。コロナの検査といえば、PCR検査が知られているが、他の方法も行っていたというのだ。

「『LAMP法』というものです。事前に検査に協力するよう依頼されて、同意書にサインしました。毎日、両方の検査を受けましたね。やり方は同じで、鼻の奥の粘膜と痰を採る。PCRは6〜8時間かかる一方、LAMP法は1時間ほどで結果が出ました」

医療ガバナンス研究所理事長の上昌広医師がLAMP法について解説する。 「PCRと同様、DNAを増幅させて検査します。PCRのようにDNAの温度を調整する必要がないので、検査は簡単で結果は早い。しかし、まだ研究段階であり、感度はPCRのほうが上です」
実際、矢島さんもPCRでは陽性だがLAMP法では陰性という結果が出ることもあったという。生死の境をさまよった矢島さんが、しみじみと語る。 「陰性が2度続いて出た後、5月2日にようやく退院しました。

とにかく、体調が悪いと感じたら、どうにかして検査を受けるべきだと思います。重症化してからでは、遅いですから……」

『FRIDAY』2020年5月29日号より
https://news.yahoo.co.jp/articles/bb9131abd147a86e4734f9ab8d77523e2c6c45fe
5/23(土) 11:02配信