11月16日 紅葉シーズン最盛の先週末、各観光地は多くの人々でにぎわったようだ。
一方で新型コロナウイルスの1日あたりの新規感染者数は連日のように過去最多を更新している。

第3波の急拡大は風雲急を告げるかのようで、この狭い国土に「平時」と「非常時」が混在する中途半端な日々が続いている。

「Go Toトラベル」で伊豆の温泉を訪れた友人はこう話した。
「飲食店もみやげもの店もコロナ前と変わらぬ人出で、解放感からかマスクなしの人も多く感染が広まっても仕方ないと思った」。

Go Toで個人旅行の予約が好調だった北海道では離島の利尻島でも感染が広がったという。

人が動けばウイルスも動く。この原則に照らせばGo Toの影響はかなり大きく見直し論が出るのは当然だが、
菅首相は「現時点ではそのような状況ではない」と専門家の認識を示している。

では、そう言い切る専門家は実際に観光地など現場の状況をどこまで把握し、検証したのだろうか。

東京都は今夏、感染防止対策として安全、安心の『虹のステッカー』掲示を飲食店の努力義務とした。
しかし、都の職員が2人1組で巡回するとされた確認作業はどうなったか、結果は聞こえてこない。

それと同じで“安全神話”が先行し現場での検証はなおざりにされ、感染状況の数字との机上のにらめっこだけでさばこうとしている。そう見られても仕方ない。

都内では今季初めてコロナとインフルエンザの同時感染者も出たという。
いまが勝負どころ。Go Toの全面停止が無理なら土日は外し平日に限定するなど制度上の工夫が必要だ。

経済と感染対策。二兎を追う者一兎も得ず、だけは願い下げにしたい。 (今村忠)
https://www.sanspo.com/etc/news/20201116/amk20111605000001-n1.html