17日から19日にかけて大雪に見舞われた新潟・群馬県境付近の関越自動車道で通行止めが発生し、多くの車両が立ち往生を強いられる事態に発展した。そんな中で、新潟県の大手米菓メーカーの岩塚製菓の配送ドライバーが、周囲の車両に輸送中の商品である同社の煎餅を食料がわりにと配っていたことがネットで大きな話題となり、週末にかけて同社を称賛する声が殺到した。そして、週明けの21日、同社の公式ツイッターに、この一件の“副産物”と思われる、ある異変が現れた。

きっかけは関越道で立ち往生したある一般ユーザーからのツイート。17日に「立ち往生して22時間が経ちました。支援は一度もきていません。その代わりトラックの運転手さんに、会社から承諾を得たからとお煎餅をいただきました。岩塚製菓さん運転手さんありがとうございます」と、差し入れされた同社の商品画像を添えて投稿したところ、21日15時時点でリツイートが2.4万、いいねが8.1万と大きな注目を集めた。
 18日、岩塚製菓の公式ツイッターがこの投稿をリツイート。「その後、状況はいかがでしょうか。国産米100%の米菓でおなかや気持ちが少しでも落ちつきますように。ご体調など十分にお気をつけて、無事にお車を発進できますことをお祈りしております」と、控えめに商品をアピールしつつ、投稿者の境遇を気遣った。
 いずれの投稿にも「なんて粋な会社」「いいお話を知って、嬉しかったです」「御社とドライバーさんのご英断に感動しました!」「柔軟な対応をされた岩塚製菓さんに心からの拍手を!」「空腹が一番つらい。空腹の人に食べ物をあげる以上の正義はありません」などと、同社をたたえるリプライがあふれた。「買って応援します」「善意溢れる会社には善意で返し、応援したくなりました」とのエールや、「ニュース見て泣きそうになりました…無事にトラックの運転手さんが戻ってこれますように」と、投稿者と同じく立ち往生していた被災者の1人でもある配送ドライバーを無事を祈る書き込みも散見された。

 休み明けの21日にかけて、同社には感謝や称賛のメッセージが殺到していたようで、同日午前に「この度は、たくさんの嬉しいお言葉ありがとうございます。なかなか全員にはお返事できませんが、いただいたあたたかいお言葉は社員の励みになっています。感謝の気持ちを伝えきれませんが、本当にありがとうございます!!」「また、弊社お客様相談室へもたくさんのご連絡ありがとうございます。1件ずつ対応させていただいておりますが、対応が遅れております。申し訳ありませんが、ご了承ください」と続けて投稿、対応の遅れに理解を求めた。
 ネットニュースやツイッターで知った全国の消費者から、電話やメールを使ったメッセージが相次いでいると見られ、その一通一通に丁寧に返信しようとする同社の姿勢を慮(おもんぱか)り、「直接、感謝の言葉を伝えることも良いかもしれませんが、通常の業務の妨げになりかねませんね」と、過剰なメッセージ送信を控えるよう呼びかける声や、「これからは岩塚製菓さん意識して購入します」と売上に貢献することで、気持ちを表したいとのコメントが見受けられた。同じように考えたネット民が多数いると見られ、「黒豆せんべいだけ売り切れで買えなかった!」「岩塚の商品だけない…」と店頭で途方に暮れるつぶやきも見られた

 面白いところでは、今回の一件を機会に同社のツイッターアカウントが改められたことがあげられる。18日の時点で同社公式ツイッターのアカウントが「岩 塚 製 菓」と半角スペース混じりになっていたことについて、「スペースあると検索に引っかかりにくいので岩塚製菓と直した方が良いかと」「せっかく今バズってるのにもったいない」などの指摘が複数あがっていた。この助言を参考にしたのか、21日現在の同社のアカウントは半角スペースなしで「国産米100%の岩塚製菓」と改められている。検索でヒットしやすい名前に変更するこの提案も、ユーザーからの応援になったと言えるかもしれない。
https://www.iza.ne.jp/kiji/life/amp/201221/lif20122116310029-a.html
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