大阪メトロ、民泊用マンションと土地売却 数億円の損失か コロナで開業断念

 大阪市が株式の100%を保有する「大阪メトロ」が民泊事業への参入を目指して20億円超で購入した市内のマンションと土地について、開業直前だった2020年12月に売却していたことが同社への取材で判明した。売却額は非公表だが、関係者によると、損失は数億円に上る可能性がある。新型コロナウイルスの感染拡大で訪日外国人(インバウンド)の需要回復が見通せず、開業の断念を余儀なくされた。

 大阪メトロによると、マンション(72室)は地上13階建てで、堺筋線恵美須町駅(大阪市浪速区)から徒歩約5分の立地。19年8月に建設中だったこのマンションと土地を20億円超で取得した。

 周辺は通天閣がある「新世界」や繁華街のミナミなど観光スポットが集中し、関西国際空港からもアクセスしやすいエリア。国内外から多くの観光客の利用を見込んで民泊事業への参入を計画し、21年2月の開業を目指していた。しかし、感染拡大に伴うインバウンドの激減で計画を断念。賃貸事業への転換も検討したが、より有利な条件だった売却を選択したという。

 大阪メトロは鉄道事業の営業収益が全体の8割超を占める。18年4月の民営化以降、副業の事業拡大による収益力向上が課題になっているが、新型コロナの影響で事業計画の見直しを迫られることになった。【矢追健介】

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毎日新聞 2021年1月21日 21時07分(最終更新 1月21日 21時07分)
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