※読売新聞

西武ホールディングス(HD)傘下のタクシー会社「西武ハイヤー」(埼玉県所沢市)が、コロナ禍で仕事が減った従業員への休業手当に充てる「雇用調整助成金」の4割にあたる約1億6000万円を休業手当に充てず、会社の特別利益として処理していたことが西武HDへの取材でわかった。支払った休業手当は平均賃金の一部だったのに、申請書類に平均賃金の10割と記入して労働局に提出していたという。

 西武HDは読売新聞の取材に「不正受給ではないと考えているが、今後労働局に相談して、対応を検討したい」としている。

 雇用調整助成金は、企業が従業員に支払う休業手当の一部を国が補助する制度。従来の助成率は大企業が2分の1、中小企業が3分の2だったが、昨年4月以降、新型コロナウイルスの感染拡大による特例措置で引き上げられ、雇用維持を条件に、中小企業と売り上げが3割以上減少した大企業は、全額が助成されるようになった。

 西武HDなどによると、西武ハイヤーは昨年4月以降、コロナ禍による利用客の減少を受け、労使協定に基づく従業員の休業を実施。協定では、休業手当を「基本給の全額か直近3か月の平均賃金の6割のいずれか高い方」と定めていた。

 同社の従業員の大半を占める運転手は歩合給の割合が大きく、基本給よりも平均賃金の方が高くなるが、平均賃金の6割と比べると、基本給の方が高い従業員が大半だった。

 雇用調整助成金を申請する際、平均賃金に対する休業手当の支払率を記入する必要があるが、同社は「100%」と記入。その結果、大半の従業員に基本給分しか支払っていないのに、平均賃金の100%に相当する雇調金を受給していたという。

 中小企業の同社は全額助成の対象で、受給額は昨年4月から今年2月で4億1500万円に上ったが、支払った休業手当は2億5200万円で、差額1億6300万円は特別利益として処理したという。

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