「都心直通鉄道を」岩槻の悲願は叶うか

「埼玉スタジアム線」の愛称を持つ埼玉高速鉄道線を、東武野田線(アーバンパークライン)の岩槻駅まで延伸する計画が、実現に向け前進しています。2020年9月に埼玉県が開催した「公共交通の利便性向上検討会議」では、終点の浦和美園駅から7.5km区間の建設が具体的に踏み込んで検討され、2021年4月には「地下鉄7号線延伸に向けた方針及び取組」として、埼玉県とさいたま市が実現に向けて協力することが明言されました。



東京メトロ南北線、東急目黒線などと直通運転を行う埼玉高速鉄道線はもともと、「地下鉄7号線」(南北線)の延伸区間として2001(平成13)年に14.6kmが開業しました。終点の浦和美園駅は「浦和」といっても中心街から5kmほど東側に離れ、他のさいたま市内の鉄道路線とまったく接続していません。

 新しく鉄道沿線となる地域で最も延伸を待ち望んでいるのは、延伸区間の終点となる、岩槻地区(さいたま市岩槻区 旧・岩槻市)ではないでしょうか。岩槻駅前のロータリーでは「地下鉄の東京直通実現を!」と書かれた看板が存在感を放ち、建設を訴える期成会の動きはすでに50年を越えています。

 地域の中心をなす東武野田線の岩槻駅は、1日の利用者が約3.7万人と同路線でもトップクラス。しかし、ここから東京へ向かうには、大宮駅や春日部駅での乗り換えを余儀なくされることもあり、東京23区内への通勤客は15%程度と、近隣のさいたま市大宮や春日部市などと比べると、東京のベッドタウンとしての立ち位置では大きく水をあけられています。新しい南北の軸になりつつある埼玉高速鉄道を足掛かりに、長らく続く人口減少にも歯止めをかけたいところでしょう。

 新しく鉄道の沿線となる地域は、現在のところ埼玉県道324号線(蒲生岩槻線)などの道路によって貫かれ、そこを行くバス車窓には、農地が点在するのどかな光景が目立ちます。埼玉高速鉄道が延伸された場合は、どのような変化がもたらされるのでしょうか。路線バスや周辺道路の現状を眺めてみましょう。
ガラッと変わった浦和美園 でも「延伸区間のバス」はまだまだ

 浦和美園駅の周辺は、新型コロナウィルス感染拡大以降、郊外の宅地が注目されていることもあり、3年間でほぼ人口倍増という急激な開発が進むエリアとなっています。埼玉高速鉄道も、2014(平成26)年に事業再生ADR(債権者との調整による私的整理)を余儀なくされた頃の低迷が信じられないほど利用客数の増加が続いており、それに伴い8両化に目途が立つなど、時代の移り変わりに驚くばかりです。

 埼玉高速鉄道線が延伸すると、サッカー競技場「埼玉スタジアム2002」や、ここを本拠地とする浦和レッズ(浦和レッドダイアモンズ)は、最寄り駅設置で大きな恩恵を受けそうです。同スタジアムは浦和美園駅から約1.1km離れているため、試合開催時における周辺の渋滞が問題となっています。浦和レッズも、スタジアム来場者の公共交通機関の利用促進と観客増を目標に、「埼玉スタジアム駅」設置を目指して2万筆以上の署名を県とさいたま市に提出したばかりです。

https://news.yahoo.co.jp/articles/e0692bc167e30983021127d24ee049320da76ce7
5/15(土) 9:40配信

https://tabiris.com/wp1/images/2018/02/saitamakosoku201802-02.jpg
https://tabiris.com/wp1/images/2018/02/saitamakosoku201802-01.jpg

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