自民党の河野太郎広報本部長が11日、岸田文雄首相(党総裁)の写真を使った党の政治活動用ポスターを発表した。先の党総裁選で争ったライバルをアピールする役割を不満な表情を見せずにこなしたが、第2次安倍・菅政権で重要閣僚を歴任した河野氏の冷遇は一目瞭然。陣営の中核をなした小泉進次郎前環境相、石破茂元幹事長との「小石河連合」の3氏は新体制でそろって落ち目になった。(山口哲人)
 河野氏は記者会見で「キャッチコピーは『新しい時代を皆さんとともに』。今週末には30万枚が街角に掲示される」と述べ、党の新しいポスターについて淡々と紹介した。総裁選で勝利していれば、自身が「選挙の顔」になっていたことを質問されると「私のポスターも(党本部)6階に貼ってあるのでご覧下さい」と笑顔でかわした。
 「小石河連合」の他の2人も主要ポストを与えられず「冷や飯」を余儀なくされている。小泉氏は岸田政権で無役となり、石破氏にはまたしても役職が回ってこなかった。
 河野氏は衆院選の応援弁士の役割を期待され、広報本部長に就いたものの、同じく総裁選に立候補した高市早苗氏が政調会長、野田聖子氏がこども政策担当相に起用されたのとは対照的に「降格人事」(元陣営幹部)という声も漏れる。
 石破派からは党役員・閣僚人事でも登用がなく、石破氏は記者団に「残念さは当然ある」と悔しがった。

東京新聞 2021年10月11日 20時30分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/136233