米マサチューセッツ総合病院とブリガム・アンド・ウィメンズ病院など、ハーバード大学医学部の関連機関の研究者らが共同で実施した調査の結果、
新型コロナウイルスに感染した乳幼児を含む子どもと未成年者から検出されるウイルスの量は、成人とほぼ同じであることが確認された。

感染症学のジャーナル、Journal of Infectious Diseasesに先ごろ発表されたこの調査結果は、学校に通う児童、生徒たちと保育所などに預けられる幼児たちを守ること、
市中感染の拡大を防ぐことが、緊急の課題であることを改めて示すものだ。

調査は検査で陽性と判定された、無症状者を含む生後2週間から21歳までの未成年110人(年齢の中央値は10歳)を対象に実施した。
調査対象者のうち、入院が必要になったのは33%(36人)。さらに、非侵襲的呼吸管理、または(気管内挿管などによって肺に人工的に酸素を送り込む)
侵襲的呼吸管理が必要となったのは16%(18人)だった。

最も感染力が強く、他の人にうつす可能性が高かったのは最初の5日で、年齢とウイルスの量に関連性はないとみられている。
また、ウイルス量と重症化にも、関連性は確認されなかった。無症状または軽症だった未成年の一部は、
入院が必要になった成人と比べ、ウイルス量がかなり多かった(症状が出ていた期間は、いずれも同じ)。

研究チームは、感染した54人から採取した57のサンプルについて、ウイルスの全ゲノムシーケンス解析を実施。
その結果、同じ時期に同じ地域で感染した人たちのウイルスを解析したのと同様の結果が得られた。

そのデータが示すのは、感染した子どもたちは、その時点で流行しているウイルスの感染を広げるスプレッダーになりうるのと同時に、
新たに生まれる変異株の宿主にもなりうるということだ。

新型コロナウイルスのパンデミックが発生して以来、小児に関するデータの収集は、成人ほどには行われていない。
それが、公衆衛生に関して当局が示す指針を複雑で分かりにくいものにしている。

パンデミックの初期の段階において、当局関係者の多くは、子どもたちには感染のリスクがない、あるいは感染を広げるせる可能性はないと主張していた。
だが、米国で10月14日までの1週間に新たに感染が報告された人のうち、未成年者は25.5%を占めている。一部の専門家たちの過去の主張は、誤っていたことになる。

初期のそうした主張は、子どもたちを対象に行われた検査数が限られていたことや、外出禁止令が出されていた期間、
仕事などのためにウイルスに暴露する危険性が高い環境にあった大人たちよりも、子どもたちはソーシャルディスタンスを取りやすかったという事実のために
かかったバイアスの影響を受けていたのかもしれない。

現在でも、広範な検査が行われていないこと、検査は成人や重症疾患の患者を優先して行われていることによって、
未成年者の間における実際の感染状況は、適切に把握できていない。

だが、成人と同じ“効率”で変異株の感染を拡大させうることがデータで示されたということは、公衆衛生に関する政策も、それに従ったものであるべきということだ。

ワクチン接種を受けていない12歳未満の子どもたちは、感染のリスクが高い。
コミュニティーにおける感染対策の中でも、学校でのマスク着用とソーシャルディスタンスの確保、換気の徹底、迅速な検査の実施、接触者の追跡を確実に行うことが、非常に重要なものとなる。

また、こうした対策は、すでに接種を受けた年長の子供や若者たちの(接種後の)ブレイクスルー感染の危険性を小さくするためにも、有効なものとなる。
https://forbesjapan.com/articles/detail/43975