“幻の貝塚” 縄文時代の遺跡 約120年ぶり見つかる
12月25日 14時27分
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明治時代に発見されたあと宅地開発などの影響で所在がわからなくなり、研究者の間で幻の貝塚と呼ばれていた縄文時代の遺跡が、東京・豊島区の住宅街でおよそ120年ぶりに見つかりました。
周辺には大規模な集落が広がっていたと見られ、貴重な発見だと注目を集めています。

およそ3000年から4000年前の縄文時代後期の遺跡、池袋東貝塚は、明治時代に発見されたという記録がありましたが、
豊島区教育委員会によりますと、周辺の宅地化が急速に進んだことなどから、その後、所在がわからなくなっていました。

ことし10月、豊島区の東武東上線の下板橋駅付近の住宅街で建物の建て替え工事が行われた際に大量の土器や貝が見つかり、
当時の記録と出土した遺物や場所がおおむね一致したことなどから、池袋東貝塚だと確認されました。

この遺跡は蒔田鎗次郎という考古学者が発見したことが、明治29年に発行された東京人類学会誌に掲載された論文に記されていましたが、
戦災や戦前・戦後の開発などで失われた可能性も指摘されるなど、研究者たちの間では幻の貝塚と呼ばれていたということです。

遺跡からは、縄文土器のほか、ハマグリやカキ、それにシカやイノシシなどの動物の骨が大量に見つかりました。
また、当時の人が土を盛って作った盛土遺構が見つかったほか、火をおこした跡も確認され、豊島区教育委員会は遺跡が集落の一角だったと考えられるとしています。

縄文時代の考古学に詳しい明治大学の阿部芳郎教授は「東京では縄文時代後期の集落の遺跡が見つかることは少なく、当時の人々の生活の実態を知るうえで重要な発見だ。
遺跡の保存状態がよいので、今後調査をすれば、周辺で大規模な集落が確認できる可能性も高いのではないか」と話しています。
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