コロナ禍で女性の貧困が問題になっています。正社員ではなく非正規雇用で働く女性が多い日本。コロナ禍では真っ先に彼女達が職を失いました。
非正規雇用で長年働いてきた女性が職を失い貧困に陥ると「非正規雇用が不安定だと分かっていたはずなのに、そういう雇用形態で働いてきたのが悪い」とばかりに本人が責められがちです。

20代の女性が「これからの40年間、非正規雇用の仕事をしよう」と白黒はっきりした形で「決断」することはあまりありません。
でも漠然と「10年後には結婚しているだろうし、その時には家庭を中心に生きるだろうから、とりあえず今は非正規でもいいや」といった具合に「なんとなく」非正規を選ぶというか非正規に甘んじているところはあると思うのです。

「甘んじている」と書きましたが、本人にばかり責任があるわけではありません。長らく日本の社会では「女性は肩肘張って仕事を頑張るよりも、男性に頼って生きるのが自然」「男性に甘えて生きることが女性として幸せ」といった生き方が一部で称賛されてきたからです。
「結婚し仕事をやめる」という選択をせずに職場に留まった女性はかつて「お局さん」と揶揄されました。今の時代では使われない言葉ですが、かといってそのような価値観が全くなくなったかというと、そうではありません。

今の時代も「一生働くよりも、途中で結婚して子供を育てて、家庭を中心に生きたい」と考える女性は少なくありません。つい5年ほど前のある調査では女子大生の4人に一人が専業主婦志望だという結果が出ました。
「女性の生き方は様々なのだから、働く女性がいるように、専業主婦という生き方もあっていいんじゃないか」という意見も日本ではよく聞くのです。

でも「専業主婦という生き方があってもいい」と話す人の話をよく聞いてみると「予期せぬハプニングが何も起きない専業主婦生活」を前提に考えていることに気付きます。
「離婚の可能性」「離婚後にそれまで無職だった女性がどのように食べていくのか」、さらには「女性が離婚した場合の老後の生活」というような現実で起こりうることがすっぽり抜けていることが多いのです。


先日、ある女性は「夫婦はチームワークだと思うんです。だから女性が料理や家事が得意であれば専業主婦という生き方があってもいい。専業主婦だからといって女性の地位が低いとは思わない」と話しました。
その女性は「夫婦というチーム」の話はしましたが、「そのチームワークが何らかの理由で崩れ、チームでなくなった場合の女性のその後の収入」について触れることはありませんでした。

つまり「成功例」の専業主婦しか見ていないわけです。一旦は専業主婦になったものの、途中で何らかの事情で「専業主婦の道」から外れてしまった女性のことを日本の社会はあまり真剣に考えていない気がします。それどころか、日本では彼女たちに厳しい視線が注がれがちです。

「日本の社会がレールから外れた女性に厳しい」のも一因だと見ています。

冒頭で、コロナ禍により女性の貧困が深刻化していると書きました。それらの女性のなかには「いずれは結婚するのだから」と「一生食べていける仕事に就かなかった」女性も含まれます。
しかし若い時に夢見た結婚が叶わなかったり、結婚生活に問題が生じるなどして、若いといえる年齢を脱してからも「独身の非正規雇用」という立場のままという女性も多いのです。

「専業主婦も一つの生き方」という価値観が残ったままの社会だと「将来は家庭を中心に生きたいから、一生食べていける仕事に就く必要はないかもしれない」と考える女性がいても不思議ではありません。
コロナ禍で女性の貧困や自殺が増えているいま、「女性の生き方」について真剣に考える時が来ているのかもしれません。


2021.07.15 15:00
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